こうした中、カナダを訪問中の全人代委員長の万里が、「改革を促す愛国行動」と学生運動を評した発言を5月17日付けで新華社が報じたことで、学生たちだけでなく社会全体に希望が生まれた。全人代常務委員らが出国前に6月20日前後となっていた常務委員会の繰上げ開催に奔走し、李鵬解任要求や戒厳令反対の機運が高まりかけたものの、万里自身は北京には戻らず「病気療養」のため上海に入り、江沢民を説得役として変心させた。2日後、万里はに党中央の決定に対し一転して「支持」を表明する。
これにより武力回避は不可避となったため、知識人らは学生たちに撤収を促したものの、地方から押し寄せる強硬派らが多数を占めた学生側の話し合いで反対票が9割を超えたため、撤収は不可能となった。5月30日には、天安門広場の中心に、ニューヨークの「自由の女神」を模した「民主の女神」像が北京美術学院の学生によって作られ、その後この像は、民主化活動のシンボルとして世界中のメディアで取り上げられた。またこの頃香港や中華民国、アメリカなどの国外の華僑による民主化推進派支援の活動が活発になっていた。
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戒厳令の布告を受けて厳しい報道管制が敷かれ、日本やイギリス、西ドイツなどの西側諸国のテレビ局による生中継のための回線は中国共産党によって次々と遮断されていたものの、アメリカのCNNは依然として世界各国へ向けた生中継を続けていた。
これに業を煮やした中国共産党の上層部は、CNNが生中継を行っていた最中に現場に係官と警察官を派遣して放送を中止するよう要求したが、テレビカメラが回り続けていたために、特派員のバーナード・ショーらCNNのスタッフと係員のやり取りも生中継され、中国共産党による報道管制の実態が世界中に発信された。なおその後の西側メディアによる報道は、主にビデオ収録による録画中継と、電話や携帯電話を使用した音声による生中継によって行われるようになった。また、民主化推進派が香港や中華民国などの国外の民主化推進派の支援者やメディアに対して、ファクシミリを使って北京市内や政府内部の状況を逐一報告していたといわれている。